Complete text -- "「半開き」のサロン 〜 アトリエミーム12周年を振り返って"

04 June

「半開き」のサロン 〜 アトリエミーム12周年を振り返って

アトリエミームは
2008年6月4日のOPEN以来、今日で丸12年。
干支を一回りして、
いよいよのセカンドステージへ向かおうとしています。
これまでご愛顧くださったお客様をはじめ、
陰に日向に声援をくださった皆々様に心からの感謝を申し上げます。

この記事を読んでくださっている方は皆様よくよくご存知のように、
アトリエミームは「半開き」のサロンです。
扉の半分を意図的に隠してまいりました。
その伏せられてきたミーム(意伝子)を、今更ながら下に記します。
私がアトリエミームから発信しようとしてきた
3つの基本コンセプトです。
 


 1つめは、「最小限から再構築する」ということです。

 人生のなかで大切なものがあるとすれば、それは何か。そして、それはどのくらい必要なのか。何がどれだけあれば自分は幸せなのか。

 私たちが生活のなかでついつい「質」より「量」を求めがちになってしまうのは、「幸せ」ということがつかみどころなく、不安だからなのだろうと思います。つまり、私たちは「質の不足」を「量の過剰」で埋め合わせようとしているように見えるのです。

 このことを私は、ラジオ番組『soulbeauty.net』『羽のラジカセ』で取材し、模索しながら、プライベートサロンという営業形態として表現し、問い続けてきました。
 アトリエミームは「More is More」ではなく、「Less is More」でもなく、「More from Less」をこそ提案したいと考えています。



 2つめは、「デザインを極める」ではなく「デザインする」に向かうということです。

 現代のグローバル資本主義の社会では、あらゆるモノやサービスは利便性や効率によって評価されます。この風潮が、デザインから深い思索や豊かな感性を解離させていることは、多くの人が指摘していることです。

 たとえば建築やプロダクトデザインの世界では、第一線のデザイナーたちはみな「デザインがデザインとして表象される以前のプロセス」について、深く思想を鍛え、言語化する労を惜しまず、「デザインする」という営為を体現しようと格闘しています。
 ところが、美容業界からはこのテーマについて鋭く切り込むオピニオンリーダーが現れない。美容業はココロとカラダに密接だからこそ、生命にモデルを学び、商業的なプロダクツに頼るばかりではない普遍的なデザイン思想が求められている筈なのに、です。

 コラムシリーズ『髪棚の三冊』は、この状況に一石を投じようとする思索ノートです。



 3つめは、「サロン性」ということです。

 サロンは「場」であって、たんなる「場所」や「スペース」ではありません。
 サロンには必ず「場」の中心に立つ者がいて、そこに出入りする人や情報を仲立ちし、そのサロンならではの価値や文化を醸成していきます。

 こうした「サロン性」は美容室に限った特性ではありません。
 人と情報が行き交う「場」があって、人と人、情報と情報をメディエート(媒介)するエディターシップ(編集思想)が発動されれば、いつどんな場面でもモノゴトの意味や価値や可能性を拡張する土壌となり得るでしょう。

 アトリエミームでは常にこうした意識に立ってお客様に接し、ときにはトークイベントやセミナー等を開催したりもしてきました。
 さらに2018年からは[ISIS花伝所]の業務委託で、情報メディエーターのエディターシップを養成するお手伝いもしています。



以上が、アトリエミーム的「半開き」の活動報告です。
12周年を迎えてますますの進化と深化を志しておりますので、
どうぞ皆さま、
引き続きのご愛顧と声援をよろしくお願い申し上げます。




 
2020年6月4日 アトリエミーム/深谷もと佳

08:00:00 | mi-m | |
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